派遣なのに残業の荒し

事務の正社員を探していましたが、なかなかよいお仕事に巡りあえず、友人にすすめられた某派遣会社で派遣社員として働くことになりました。業務内容としては、一般的な事務作業です。主に顧客情報の入力やファイリング、電話対応がメインでこれといって特別なものはありませんでした。

就業規定にも定時は9時00分から18時00分とあり、お休みも週二回です。 派遣でまさかとんでもないところへ飛ばされるとは夢にもおもっておらず、それなりに大きな会社だったので 少し油断していました。

入社してみて驚いたのは、仕事量の多さです。 具体的な仕事内容は書けませんが、一人およそ3人分くらいの量を抱え、一日目にしてオーバーワークの気配を察知しました。 なにせ忙しすぎて仕事の手順を教えて貰えません。 まるで昔がたきの職人のように「見て覚えろ!」的な横暴さ。 事務といっても、細やかな作業手順や会社の方針に則ったものというのがあって当然と思っていたので、 仕舞いには「適当にやっておいて」と言われ困惑してしまいました。

中でも、メインであるデータ入力が1日あたり500件ほどの細かい情報を一人で毎日黙々と仕上げ、 その合間にまるで(例えが悪いですが)借金のとりたてのように鳴り続ける電話に、 わんこそばをおかわりするかのような調子で対応する、というとんでもない荒行を強いられていました。

くたくたになって18時の定時に逃げるように退社していたのですが、それが許されたのはたかだか2、3週間だったと思います。 ある月末、締め日に全く収めるべきデータが揃っておらず、残業を頼まれました。 「20時まで大丈夫ですか?」と聞かれイヤとも言えず、自分の仕事は終わっているのに人の仕事を貰って残業をしていました。 そのときは真夏でした。 いままでは18時の定時に退社していたので、気付かなかったのですが、18時を過ぎるとビルの空調が止められてしまうというのです。 会社は高層ビル階にあり、当然窓を開けることもできず、換気システムもない中、蒸し風呂状態になったオフィスでの残業は たかだか数時間といえ地獄でした。 結局、8時には終わらずに9時近くにお役御免となりましたが、他のスタッフはまだ帰る気配を見せず、仕事をしていました。 事務なのにこんな遅くまで机にかじりつく仕事があるのか、と少しばかりショックを覚え帰宅しました。

明くる日、仕事の納品が間に合わず締め切りを伸ばして対応という形になったと言われ、引き続き貰い仕事を自分の仕事のようにこなすことに。 前日の残業を思うと、お腹が痛くなるような思いですが、やらねばならぬことを色々考えをめぐらせてみたところでどうしようもありません。 ひたむきに処理をしていました。

「ごめんだけど終電までやってもらえないかな」 無論残業の最中、蒸し風呂の薄暗いオフィスでぼつりと上長に言われた言葉に驚いて声も出ません。 後々わかったことですが、あまりの仕事量で残業が月60時間を超える部署だったそうです。 まだ直接雇用もされず、一派遣社員でもこんな馬車馬のような扱いを受けるとは……直接雇用をした暁にはこれ以上の扱いが待っているのかと思うととても務めきれないと思いました。

何度も繰り返しますが、一般事務です。 業務内容も特別なことはありません。ですが、終電まで残業を強いられ(結局1度引き受けてしまいずるずると何度もするハメに) 帰る電車を逃し、近くのビジネスホテルに自腹を切って宿泊し、次の日にホテル出勤。 徹夜でオフィスにいたこともありましたが、その記憶はあまりに残酷で頭から消し去ってしまいました。

これらは三ヶ月の試用期間内に起きたことで、こんな状態では直接雇用などとんでもない、と派遣の担当にかけあい 結局逃げるようにその会社から去りました。 派遣であったからこそ、わずかに守られたところもありました。 会社としては悪くなく、忙しいのも私の中では大した問題ではありませんでした。 人間関係も比較的緩やかなのに、激務以上の激務はちょっと耐えらないな、という思いでした。この程度ではブラックなどと語るのもおこがましいかもしれませんが、一体験談としてお読み頂ければ幸甚です。